絵を描くのが大好きな小さなお坊さんの物語
A story about a little monk who loves to draw.
田舎の商家で生まれ、絵の神童と持てはやされた少年・直介(なおすけ)は、十歳の時、都へ奉公に出された。しかし、絵への執着を断ち切れず、次第に闇に落ちて行った。
そんな直介の前に一人の風変わりな乞食坊主が現れた。坊主は直介を寺に連れて帰り「今日からお前は朴念(ぼくねん)だ。ただ働き、ただ食え」と言い、継ぎ接ぎだらけの作務衣と終わりのない雑役を与えた。
季節は移ろい、人々との出会いの中で、直介は言葉ではない「なにか」を感じ始める。
Naosuke, born into a merchant family in the countryside, was sent to work in the capital when he was ten years old. However, unable to break free from his obsession with painting, he gradually descended into darkness.
Then, a strange beggar monk appeared before Naosuke. The monk took Naosuke to the temple and gave him patched-up work clothes and endless chores.
As the seasons change and he encounters various people, Naosuke begins to sense “something” that cannot be expressed in words.
目次
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第十六章 供養の真意 ~生者への祈り~
三河国、今川の里での日々は、穏やかに過ぎていった。一行は名主・只野頼吉の縁者の館に逗留(とうりゅう)…
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第十五章 矢作の川下り ~男たちのいない里~
美濃の山中での野宿を経て、一行はついに三河の国の入り口、挙母(ころも/現在の豊田市)へと辿り着いた。…
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第十四章 焚火と刀
都の五条の橋を渡り、一行は東へと歩を進めた。山科(やましな)を抜け、逢坂(おうさか)の関を超えれば、…
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第十三章 道連れは泣き虫と古強者
旅立ちの決意は固まったが、実際に寺を出るまでは苦難の連続だった。朴念が抜けた穴をどう埋めるか。寺の作…
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第十二章 裏絵の経 ~旅立ちの縁~
修行僧にとって、経とは「習う」ものではない。「盗み、覚え、刻む」ものである。朝の勤行(ごんぎょう)、…
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第十一章 不格好な鏡
三度目の冬も終わりに近づいたが、山間の寺には、まだまだ骨に沁みるような寒さが居座っていた。 墨染(す…
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第十章 絵筆と法衣(三度目の秋)
日々の労働と季節の流転の中で、様々な「気付き」を得た朴念は、三度目の秋を迎えた。寺の庭は、朴念が初め…
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第九章 心の重石(盛夏)~放下著(放下着)~
ある蒸し暑い夏の日、朴念は過ちを犯した。夕餉(ゆうげ)の後片付けをしていた時のことだ。 手に持ってい…
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第八章 雨音の正体(梅雨)~日日是好日~
梅雨の季節がやってきた。都の盆地特有の、まとわりつくような湿気が寺を包み込む。雨は三日三晩、止むこと…
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第七章 闇を歩く灯(春霞)~法灯明・自灯明~
長い冬が終わり、山々が淡い緑に包まれ始めた春のこと。朴念は、寺から遠く離れた山間の集落へ使いに出され…
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第六章 無言の汗(厳冬)~無功徳~
雪がちらつく厳冬の頃、寺の屋根の吹き替え工事が決まった。莫大な費用がかかる事業だが、噂を聞きつけた都…
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第五章 一杯の白湯(初冬)~喫茶去~
木枯らしが吹き始め、冬が到来した。朴念は老師の荷物持ちとして、村一番の分限者(金持ち)の屋敷を訪れた…
