A story about a little monk who loves to draw.
田舎の商家で生まれ、絵の神童と持てはやされた少年・直介(なおすけ)は、十歳の時、都へ奉公に出された。しかし、絵への執着を断ち切れず、次第に闇に落ちて行った。
そんな直介の前に一人の風変わりな乞食坊主が現れた。坊主は直介を寺に連れて帰り「今日からお前は朴念(ぼくねん)だ。ただ働き、ただ食え」と言い、継ぎ接ぎだらけの作務衣と終わりのない雑役を与えた。
季節は移ろい、人々との出会いの中で、直介は言葉ではない「なにか」を感じ始める。
Naosuke, born into a merchant family in the countryside, was sent to work in the capital when he was ten years old. However, unable to break free from his obsession with painting, he gradually descended into darkness.
Then, a strange beggar monk appeared before Naosuke. The monk took Naosuke to the temple and gave him patched-up work clothes and endless chores.
As the seasons change and he encounters various people, Naosuke begins to sense “something” that cannot be expressed in words.
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第七章 闇を歩く灯(春霞)~法灯明・自灯明~
長い冬が終わり、山々が淡い緑に包まれ始めた春のこと。朴念は、寺から遠く離れた山間の集落へ使いに出された。 帰り…
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第六章 無言の汗(厳冬)~無功徳~
雪がちらつく厳冬の頃、寺の屋根の吹き替え工事が決まった。莫大な費用がかかる事業だが、噂を聞きつけた都の大商人が…
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第五章 一杯の白湯(初冬)~喫茶去~
木枯らしが吹き始め、冬が到来した。朴念は老師の荷物持ちとして、村一番の分限者(金持ち)の屋敷を訪れた。 「おお…
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第四章 背負う重さ(晩秋)~自他不二~
二度目の秋も深まり、朝晩の冷え込みが厳しくなってきたある日の夕暮れ、朴念は使いの帰り道を急いでいた。村人たちが…
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第三章 砂紋の機微(仲秋)~随処作主~
寺には、老師が大切にしている「枯山水」の庭があった。白砂と大小の石だけで構成されたその庭は、水を一切使わずに大…
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第二章 流転する光、舞う葉 ~不立文字~
「今日からお前は『朴念(ぼくねん)』だ」 山門をくぐったその日、あの乞食坊主――この寺の住職である老師は、直介…
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第一章 乞食坊主と直介
田舎の商家の三男坊として生まれた直介(なおすけ)は、小柄で栗鼠(りす)のように愛らしいつぶらな瞳を持っていた。…
